エンゲージメントの経緯

安藤ハザマは割安に評価された、過剰な自己資本を抱える建設会社であります。その崇高なる社史は所得隠し・死亡事故となった労災事故によって汚され、そして、いま破壊的な資本配分施策によって一層傷められようとしています。

明らかに、コーポレートガバナンスの欠落は企業の株価に影を落としており、同業の中で最も低いバリュエーションとなっています。著しく低いマルチプルで取引されていて、保有する現金考慮後でたった1.1倍のPERとなっています。

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過去数年に亘って、オアシスは安藤ハザマに対して事業とコーポレートガバナンスの改善をするようにエンゲージして参りました。残念ながら、安藤ハザマの経営陣は我々と議論を続けてきた基本的な問題点に対処することをせず、事態を悪化させてきています。

2月12日、安藤ハザマは3.5%の自社株買いをアナウンスしました。正しい方向への一歩です。しかし、自社株買いとともに、著しく企業価値の毀損につながる誤った方向への一歩も歩もうとしています。すなわち、安藤ハザマが持つ余剰資金のすべてを浪費することにつながりうる投資計画です。不動産投資への失敗の歴史をまた繰り返そうとしています。

不動産業と発電事業は非常に競争が厳しい業種で、数十年の経験を持つ確固たるプレイヤーがひしめく世界です。さらには、この事業から見込まれるリターンは小さいです。長年の参加者であっても、安藤ハザマの一般的なROEよりも低い水準のリターンしか生めていません。しかも、不動産市場のピークの価格で投資するという大きなリスクを潜在的に抱えており、ましてや、この足元の不透明な状況下では猶更です。

安藤ハザマ経営陣との面談では、分析や熟考を経たというよりは、行き当たりばったりで中身がない計画であることは明らかでした。